5章: 余暇の時間
3代目ガストン-ルイ・ヴィトンは読書や執筆など書の美学を大切にしていたという。本物の書斎と見間違うような重厚感のある書棚トランクが見事。
上:ガストン-ルイ・ヴィトンの書棚トランク(1936年)
右:天然鞣し革のデスク・トランク(1928年)
左:キム・ジョーンズの作家のための天然鞣し革のケース(2015年春夏コレクション)


6章: 絵画用トランク
ルイ・ヴィトンとアートの繋がりは深い。著名なアート・ディーラーのスペシャル・オーダーは、移動中のダメージから絵画を守るための大型トランク。
また近年では、ルイ・ヴィトンのファブリックやパターン、フォルムを一新するべく招かれたアーティストたちとのコラボレーションが話題になった。
右:ルネ・シャンベルが所有したモノグラム・キャンバスの絵画用トランク(1924年)
左:現代美術家ダミアン・ハーストが赤十字150周年のチャリティ・プロジェクトでデザインした手術道具ケース(2009年)
(上)リチャード・プリンス(2008年)と(下)村上隆(2003年)が制作したキャンバス

※小室さんも村上隆のモノグラム・マルチカラーのトランクを所有。今では大変貴重なのではないかと思われる。(「月刊TECCI」Vol.2(2015年03月27日号) #今月のびとん Collection に掲載)


7章: 一風変わった、興味深いトランク
ガストン・ルイ・ヴィトンが収集していたアンティークトランクのコレクションを展示。


8章: ファッションとビューティー
<フレグランスの誕生>
ガストン-ルイ・ヴィトンは1927年にルイ・ヴィトンを象徴する初のフレグランスを誕生させたそうだ。装飾瓶の美しい繊細な模様が印象的。

<セレブリティとの関係>
頭上にシャンデリアが輝く明るくエレガントな展示室には、グレタ・ガルボ,キャサリン・ヘプバーン,エリザベス・テイラーなど、往年のスター達のためのスペシャル・オーダーや、着用したドレスも展示されている。
左:キャサリン・ヘプバーンのワードローブ・トランク(1935年)
右上:グレタ・ガルボの靴用トランク(1926年) 靴も本物!
右下:エリザベス・テイラー所有のトランク(1970~1980年頃)

<メンズ・ラゲージ>

瓶や道具のひとつひとつを収納する男性用化粧ケース。この繊細な造りに思わずため息が出そうになる。
右:フランスのファッションデザイナー、ポール・ポワレが所有していたモノグラム・キャンバスのメール・トランク(1911年)
左:(上)フランスのファッションデザイナー、クリスチャン・ディオールが所有していたモノグラム・キャンバスのスーツケース「アジャクシオ」(1952年) 「C.D」とイニシャルが見える。
左:(下)アメリカの俳優、ダグラス・フェアバンクス所有とされるスーツケース「ローマ」(1924年)

<現代のクリエーション>
旅行鞄専門店として「服を運ぶ入れ物」を作ってきたルイ・ヴィトンが、初代アーティスティック・ディレクターにマーク・ジェイコブスを迎えプレタポルテ(高級既製服)への参入を発表し、新たに「服作り」の歴史が始まったのは1997年のこと。

2014年からは二コラ・ジェスキエールがレディースラインのアーティスティック・ディレクターを務めており、2016年クルーズコレクション,2015年春夏コレクションを中心に、彼のデザインを展示するセクションとなっている。
ランウェイの映像がスクリーンに映し出され、中央に配置されたクローゼットは回転する仕組み。


9章: ミュージックルーム
繊細で持ち運びが難しく、慎重な扱いが求められる楽器などの音楽のアイテムを収納するケースを展示。
左上:革のギターケース(2015年春夏メンズコレクション)
右上:DJボックス(1996年モノグラム生誕100周年記念でヘルムート・ラングがデザイン)
右下:ピエール・セシアリのヴァイオリンケース(1895年)
左下:指揮者用トランク(2014年指揮棒コレクションのためのスペシャル・オーダー)


10章: インスピレーションの国、日本
パリの展示は9章のセクションで構成されていたが、日本では特別にさらに1章、ルイ・ヴィトンと日本文化との深い繋がりを紹介するセクションが加わった。
展示室に入る時にまず目に止まるのは、障子の空間に置かれたダミエ・キャンバスの茶道具一式を収納するトランクと、モノグラム・キャンバスの歌舞伎役者のための鏡台トランク。
鏡台トランクは、故・市川團十郎氏のスペシャル・オーダーで、息子の市川新之助氏が市川海老蔵を襲名する際に贈られたもの。紋の「寿の字海老」が確認できる。
枯山水をイメージした空間に展示されているのは、草間彌生,川久保玲,村上隆ら日本のアーティスト,デザイナーとのコラボレーション作品。

左上:村上隆とのコラボレーション モノグラム・チェリー キャンバスの「パピヨン」(2003年)
右上:コム デ ギャルソンとのコラボレーション モノグラム・キャンバスの「ミニ・スピーディ カスタマイズ」(2009年)
左下:草間彌生とのコラボレーション モノグラム・パンプキンドット キャンバスの「パピヨン」(2012年)
右下:村上隆とのコラボレーション モノグラム・チェリー キャンバスの「サック・プラ」(2005年)
板垣退助が渡欧した際に購入したトランクや、白洲次郎が所有したバッグも展示されている。
上:板垣退助所有 レイエ・キャンバスの「スティーマー・トランク」(1883年) まだモノグラム・キャンバスが考案されていなかった時代だ。
下:白洲次郎所有 モノグラム・キャンバスのトランク「ビステン」と「スティーマー・バッグ」(1967年)
畳の縁もモノグラム柄!モノグラム・キャンバスは、2代目ジョルジュ・ヴィトンが日本の「家紋」からインスピレーションを受けデザインしたと言われている。

そして、展覧会を締めくくるのは、パリのアトリエから来日した職人たちによるバッグのパーツ作りの実演。
作業中の職人の手元をアップでスクリーンに映し出し、職人の傍らにいる通訳者による解説もあり、伝統のクラフツマンシップを目の前で体感することができる。


Volez, Voguez, Voyagez - Louis Vuitton(空へ、海へ、彼方へ ― 旅するルイ・ ヴィトン)
期間: 2016年4月23日(土)~2016年6月19日(日)
場所: 東京都千代田区麹町5丁目「旅するルイ・ヴィトン展」特設会場
時間: 午前10時~午後8時(最終入場は閉館30分前まで)
休館日: 月曜日(5/9, 5/16, 5/23, 5/30, 6/6)
※ただし4/25, 5/2, 6/13の3日間のみ午後1時より開館




衣装部が最初に展覧会を訪れたのはゴールデンウイーク序盤。展示に夢中になりながら時間を気にせずにゆっくり巡っていると、気がつけば入場から2時間が経とうとしていて驚きました。
インターネット予約により入場人数が管理されているようで、来場者が多くなる休日でも窮屈に混み合うことなく比較的ゆったりと鑑賞することができ、展示室内ではスタッフが気軽に解説をしてくれるなど細かい心配りもうれしい。エントランスにはカフェが併設され、ブランドの書籍などを扱う販売スペースも設置されているので、展示を楽しんだ後に立ち寄るのもおすすめです。

馬車に乗せる旅行用木製トランク作りからスタートしたルイ・ヴィトンの歴史。時代とともに輸送手段が馬車から船、自動車、列車、航空機へと進化を遂げ、運ぶ荷物もライフスタイルに合わせて変化するなか、「旅」に寄り添い続けるブランドのポリシーはいつの時代も変わることがなく、そのポリシーが想像力、そして創造力の大きな源となり、時代や顧客のニーズに沿った様々な作品を生み出してきたのでしょう。
ルイ・ヴィトンがモード系ファッションブランドへと変貌を遂げてからは、まだ20年ほど。それまでの「旅行鞄専門店」として頑なにトランクや鞄を作り続けてきたブランドの長い歴史(創業の1854年は日本は江戸時代!)の変遷を肌で感じ知ることができる機会はそうあるものではありません。
会期は6月19日まで。この貴重な機会にルイ・ヴィトンの歴史の一端に触れてみてはいかがでしょうか。

余談ですが、旅といえば「荷造り」。ルイ・ヴィトンがパッキングの方法はもちろん、衣類の畳み方までレクチャーしてくれている、衣装部お気に入りのかわいらしい動画「The Art of Packing」を最後にご紹介して終わることとしましょう。 BON VOYAGE!!!






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